« エコ住宅の行く末~その1環境共生住宅① | トップページ | 環境に優しい生活―紙オムツの行く末 その1 »

2007年10月19日 (金)

エコ住宅の行く末~その2環境共生住宅②

 急に朝晩の気温が下がり、富士山の初冠雪の便りも届く頃になった。たまたま連休ホームセンターに行ったらオール電化とエコウィルの宣伝が当たり前のように店内放送で流れていて思わず耳を欹てた。エコウィルについては前回触れたような国庫の補助金も出るので導入をお勧めする旨を語っている。省エネになって、小さいお子様や高齢者がいても安全性が高い、おまけに国の補助金制度もあるという謳い文句は正にいいこと尽くめに聴こえ、一般市民に対しては説得力があるような印象は十分に伝わってきた。エコウィルという言葉のイメージはこのように浸透してきている。しかしながら、エコウィルの背景にある、肝心の環境共生住宅思想の存在まではなかなか届いていないのが今のご時勢であろう。 日々地球環境にどう人類が生き延びていくかなどと高尚な考えには行き着かないのが普通に違いない。都会の住宅過密環境や地価沸騰を考えると新築のオール電化マンションや建売にしろオール電化住宅を購入できる層はごく一部の富裕な人々にしか過ぎないのが現状である。多くの庶民は、築30年は軽く過ぎた建売住宅や中古の外装に多少手を入れたマンションに住み続けて生涯を終えていく。先日、被災した新潟県柏崎市を訪れた筆者は、異様な町の光景にまず驚いた。同じ地域に居住しながら全壊している家屋の合間にびくともしていない印象で新築の住宅が点在している。言い換えると被災者でも体育館で不自由な避難所生活を強いられている人々は、オール電化の家屋とはかけ離れた老朽化した家に住まい続けてきた高齢者や低所得者層に多いと考えられたのである。では被災を機にオール電化の家に立て替えが進んでいくのかというとそれも現状として実現は困難を極めるというのが率直な感じであるように思えた。

 こういう庶民事情を念頭において前置きが長くなったが環境共生住宅を前回に続けて語ろうというのが今回の趣旨である。

そもそも「環境共生住宅」が検討され始めたのは、平成2年、政府が二酸化炭素排出量の削減を盛り込んだ「地球温暖化防止行動計画」を決定したことがきっかけであった。
これを契機に、エネルギーの全消費量の約1/4を占める住宅分野においても地球環境との調和が求められるようになったさらにこれに加えて、住宅の質の課題である周辺環境との調和や居住環境への配慮も必要であり、これらを踏まえた総合的な環境対策が必要になったことが指摘されてきた。

 こうした背景のもと、国土交通省では省エネルギー施策とあわせて、環境にやさしい住宅・市街地整備を図るため、環境共生住宅建設推進事業(1992年度創設)や環境共生住宅市街地モデル事業(1993年度創設)等の施策を実施してきたのであるが、一般国民にどれだけの周知が得られてきたかについてはやや疑問である。つまり環境共生住宅の基準やイメージ等に対する共通した認識が得られていないため、一般に十分普及しない状況ではないかとされた。

 このため、1999年度より(財)建築環境・省エネルギー機構において、環境共生住宅認定制度を創設し、環境共生住宅の基準を明確にし、必要要件を満たした住宅を環境共生住宅として認定する事業を実施している。

 本制度による認定戸数は2002年度では約800戸となっているが、認定に際しては申請手続きや申請費用が必要である。したがって、必要要件を満たしていても認定の申請をしていない住宅も多数あると考えられる。 今後、環境共生住宅を普及促進し、地球環境や周辺環境との調和や居住環境に配慮した良好な住宅ストックを形成していくためには、環境共生住宅の意義を明確にすること、住宅取得者の環境意識を醸成していくこと、当面コスト負担を軽減し環境共生住宅の供給戸数を増やしていくこと等が考えられる。
自治体や住宅供給公社等も、国土交通省の「環境共生住宅市街地モデル事業」の助成を利用するなどして、環境共生住宅の建設を進め、現在、国内では戸建て住宅から集合住宅まで、60カ所以上で建設されている。

 中でも有名なのは、平成9年、東京・世田谷区に完成した「世田谷区深沢環境共生住宅」(敷地面積7,388平方㍍)。 これは、従来の木造平屋建ての都営住宅(35戸)を、5棟の環境共生型の集合住宅(70戸)に建て替えたものである。2年間にわたり、地形、敷地内の樹木や小動物、季節による風向きの変化などを徹底的に調査した上で、敷地内の団地5棟(3~5階建て)の構造や配置を設計し、建設されている。その特徴を先の「環境共生住宅」の3つの定義に当てはめてみると──
①「地球環境保全」の面からは、屋上緑化(一部の棟では壁面緑化も)、太陽熱温水器(1棟)、太陽光発電装置による常夜灯、各戸バルコニーの雨水貯留タンク、生ゴミの共同処理機による堆肥化、小型風力発電装置(2基)。このほか建て替え時に出た瓦などの廃材をリサイクルした。

 また、②「周辺環境との親和性」については、井戸水を利用したビオトープ(多様な生物との共生の空間)の造営、旧住宅の樹木の一部を保存、透水性舗装などを実現した。

 さらに、③「居住環境の健康・快適性」に関しては、地域の風向きを調査して樹木や建物を配置、各棟の前に花壇を付設、建物に吹き抜けを設けて風通しを考慮、道路や縁石を段差がないバリアフリー化した。

 こういうモデル事業が具現化された住宅に実際に居住している人々は地球環境問題についても一般の人々に比べてはるかに意識が高い層であることは容易に想像できる。つまり、モデル事業がモデル事業にとどまっているうちはまだまだ環境共生住宅という発想そのものが大変特殊な珍しいものであるということには違いない。

 ただこの環境共生住宅について読み込んでみると総てが新しい設備投資が先行する事業とはいいきれず、廃材のリサイクルやユニバーサデザインにつながる考え方であり、一般庶民が身近な日常生活についてのひと工夫や緑化などの環境整備で実現が十分に可能であることもとても多いのではないか、そのことを広く一般に知ってほしい、考えてほしいと願っている次第である。

(記・岩松珠美)

|

« エコ住宅の行く末~その1環境共生住宅① | トップページ | 環境に優しい生活―紙オムツの行く末 その1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/157906/16739555

この記事へのトラックバック一覧です: エコ住宅の行く末~その2環境共生住宅②:

« エコ住宅の行く末~その1環境共生住宅① | トップページ | 環境に優しい生活―紙オムツの行く末 その1 »