年賀状はエコか?
(1) 年賀状の意味
今年も師走に入り、まもなく年賀状の受付がはじまる季節となった。元旦の朝の楽しみのひとつといえば、届いた年賀状を読むことという方も多いのではないかと思う。郵政公社調べによれば、平成18年度の元旦に配達された年賀郵便物は20億5千200万通、国民ひとり当たりに換算して約16通くらいであるという。電子メールの普及や「虚礼廃止」の風潮もあって、近年、その数は減少し続けているといわれるが、なかなか会えない友人・知人から届く年賀状、または普段は、忙しさなどもあって、なかなかやり取りのできない間柄でも、年に一度、気軽にお互いの近況を報告し合えるのが年賀状のよさだといわれている。電話や電子メールなど、コミュニケーションツールの多い今も、親交を深めるのに有効な手段という考え方も1つでは確かにあると思う。年に一度のご挨拶、真心を感じさせる年賀状がより豊かな心の交流を呼んでくれることと期待できるのであればあながち、そういうの紙資源と郵送費の無駄を度外視して励行する人もまだまだ多いのが現状であろう。「私はあなたのために、少しだけど勞力(時間)を割きましたよ」という誠意の意思表示。単に挨拶や用件だけならば、メールで済むし、また、同じ年賀状でも、宛名ラベルを貼られたものや、
宛名を楷書体のようなフォントでプリントアウトされたものは、何となく「事務的に処理された」という感じがするので、あんまり本来の年賀状に期待されていた効果が受け取った相手に伝わりにくくなるにちがいない。手書きで宛名書きされ、手書きのメッセージを加えられた年賀状はまだまだ魅力的なのであろう。「この人は宛名を書いているとき、少なくとも1~2分間は自分のことを考へてくれていたんだなあ」受け取るわけであろう。人は自分のために他人が勞力を割いてくれることを基本的には喜ぶ。手書きの年賀状は、付き合いの深浅を問はずに、送り手の気分も重たくならずに、相手と自分の「繋がり感」を確認できる、手頃でコストパーセンテージの高い手段なのではないかとは思われる。よって、年賀状を送る習慣を非效率とか、年賀状を作成したり宛名書きをする時間は無駄だと宣う方も多いが、非效率だからならではの利点はやはりあるのかもしれない。
(2)カーボンオフセット年賀状
日本郵政と日本郵政公社は21日、温暖化ガス削減事業への寄付ができるお年玉年賀はがきを発行すると発表した。名称は「カーボンオフセット年賀」。販売価格は55円、内5円が寄付金となり、この寄付金に日本郵政が同額を上乗せして、排出権を購入。この排出権を日本政府に無償譲渡するそうである。仮に1億枚が売れた場合、31万2000トンの排出権購入が可能。この数字は、京都議定書の目標に対し、0.2ポイント分の削減効果があると試算されている。日本政府に無償譲渡とは分かりにくいが、このような取り組みは何にせよ環境保全につながる年賀状が来年のお正月には手元に届くということになる。しかしながらこういう趣旨を理解して55円の年賀状利用者がどれだけ購買するか、またどれだけカーボンオフセット年賀状周知できるかにかかっているかと思われる。これを契機に、オフセット付き製品が増えていくと一番いいのかもしれない。オフセットを利用した商品はなにも年賀状だけではなく、例えばオフセット付きTシャツの販売、カーボンオフセット食品、カーボンオフセット住宅など等、常識の言葉として一般市民が理解しているような普及がどうやったら浸透していくかが大切なことだと思う。
(3)年賀状と家族関係
山田昌弘氏の「パラサイト社会のゆくえ ―― データで読み解く日本の家族」(ちくま新書)に、「日本の年賀状の意味」を説明している部分があって、要するに、年賀状とは、その送った当人の「家族観」を示すものらしい。例えば、ペットを家族と思う人は、年賀状の中にペットの名前も入れ込む。夫婦とはいえそれぞれは個人だ、と思う人は、各々が個人名だけの年賀状を出す。夫婦別姓を標榜する人にしてみると、年賀状を出すというのはその考え方をアピールする絶好のチャンスにもなるというわけである。で、最近人気のバンダイの人形、プリモプエルを真面目に「家族」として遇している人も世間にはいる。名前をつけ、会話をして。一種、一つの人格として対話できる人形ですから…。山田氏は、「プリモプエルが写っている年賀状を受け取られた方は、是非山田までお知らせいただきたいぐらいである」とまで書いている。山田氏曰く、年賀状とは「私たちは幸せな家族を営んでいます」と宣言する手段という意味があるそうである。しかし、その宣言が必ずしも真実を指し示すか、というとそれは違っていて、要するに本人の家族イメージの「表現」と、「宣言」にすぎないわけである。そう言われてみて、改めて今年受けとった年賀状を見ると、そこには確かに友人や親戚達それぞれの「家族観」「自分観」が現れているように思える。普段よく知っているつもりの相手の思いもよらない一面をもう一度改めて発見できるかもしれない。
(4)郵政事情
郵政民営化がとうとう始まったが、民営化をする際に、日本郵政グループのパンフレット類の塗工紙の需要が九月末までの半年間で約6000トンあったということを新聞を読んで知った。需要が上がり経済が活性化するのはよいこととは思うのですが、環境の面でいうと、「民営化」したことによって本来必要ではなかったかもしれないことに資源が使われたのではないか?という気持ちもある。モノを作って売り、それを消費して経済は回っていく・・・・この原理、思考から二酸化炭素を削減しようという問題を解決するのは無理ではないのか?・・・と限界を少々感じてしまったわけである。その反面、郵政グループは以前紹介したような年賀状を始めたりしていて、何とも・・・複雑である。ちなみに、紙を1トン作るのに、約2トンの二酸化炭素が排出されると・・・・環境尺では見ることができる。単純に考えると、6000トンだから1万2000トンの二酸化炭素が排出されたということになるのはなかろうか。 今後は、個人情報保護のトレンドに乗って、社員同士がお互いの住所を知らないという企業が増えてくる事にちがいない。既に、社員名簿を発行しない企業も多いし、このままでは年賀状という文化そのものも消え去っていくのに違いないであろう。所詮、年賀状なんてのは年賀状用紙という資源の無駄 年賀状を書く労力の無駄 年賀状を配達する人的・物的コストの無駄 という無駄のオンパレード年賀状を通して地球環境問題への関心を広める。「カーボンオフセット年賀」は、寄附の目的を「温室効果ガス削減への貢献」に限定した寄附金付お年玉付年賀葉書で、目的を限定して寄附を行う寄附金付お年玉付年賀葉書の発行は、今回が初の試みとなるので、今年は1年に一度年賀状を書きながら環境保全について改めて考えてみる機会としようではないか。
(記・岩松珠美)
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